第10回 「『モノ』を言う!!若手司法書士の進言」

最近では、生命保険の方、ファイナンシャルプランナー、財務コンサルタントの方とお仕事をさせて頂く機会が多いです。上記の職種の方は、「リスクマネジメント」を主としておられる方です。私も上記の分野には不勉強でしたが、かなり万が一の時の備えとして頼もしいものです。外資系の生命保険の社長が日本に来て、日本人のとある姿を見て、「日本は、大きな生命保険のマーケットになる」と思いついたそうです。

「その姿とは何でしょうか?」いきなり解答ですが、「それは、日本人は他の国に例を見ないほど、インフルエンザや感染症の流行期には、『マスク』をしている」ことだったようです。そうです、「予防」を自然と考えている人種だと、その外資系のアメリカ人の社長の方は思ったそうです。真にその社長の予感は的中して、日本人のほとんどの方が何らかの

生命保険に加入していますよね。

金融のお話をさせて頂いたので、もう一つ。小泉純一郎元総理大臣によって、解体された郵政省、郵便局。この「貯金」という制度の起源、理由をご存知ですか?

大政奉還、明治維新に伴い、西洋思想が日本に入ってきました。江戸時代、「士農工商」という身分制度があり、はっきりとした職業差別が存在しました。「武士は食わねど高楊枝」という言葉が表現しているように、身分上は武士が上でしたが、身分上、一番下とされた

商人の方が良い生活をしていた事をご存知の方は多いのではないでしょうか。

徳川幕府は「参勤交代」などの制度を作り、とにかく、財力のある藩主にお金を使いさせました。それは、財力がなければ、倒幕の流れにはならないという思惑があったそうです。

「宵越しの金は持たない」と言われたように、商人にもお金は使うもの、意図的に「貯める」という意識は江戸時代の人にはなかった様です。

しかし、明治維新により西洋思想が入ってきて、万が一の時に「お金を貯める」という事が、日本の近代化には、必要だと当時の政府は考え、国がお手本とする「郵便局」という制度が全国に広がったそうです。その「郵便局」を設置する場所を、各地元の名主にお願いして、「簡易郵便局」が一気に日本全国に広がり、国主導の金融機関が誕生しました。逆に言えば、この時点で、かつての自民党の巨大な選挙の組織地盤が固まったのも、これが契機と言われています。

その後、明治、大正、昭和、平成と時代を経て、「郵政族議員」など、それぞれの組織基盤をもった議員が登場し、国民個人の選挙戦ではなく、組織の利益を追求する選挙戦になり、

戦後も「自民党の一党優位体制」が続き、「党内派閥闘争」「党内政権交代」が行われ、「角福闘争」と呼ばれる有名な派閥闘争がありました。その福田派に所属していたのが、小泉純一郎元総理大臣であり、かつては若手のホープとされ福田派を担っていました。

自民党の巨大な支持基盤の「郵政省」「郵便局」を民営化する、「郵政民営化」は大きな

党内での反発もあったことは、ご存知のとおりで、「国民」を味方につけ、「小泉劇場」と選挙戦では言われてました。その「郵政民営化」とともに、日本でも大きな改革が起こりました。法律では「会社法」「一般社団、財団法」そして「信託法」と、大きな地盤変動の始まりでした。

小泉元総理は、大のアメリカ好きでも知られてましたよね。この方が法律界でも「大陸法」から「英米法」の社会に移行させた張本人です。時代いや歴史とまでは早いかもしれませんが、この方を産んだ、必然かもしれません。