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認知症対策

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認知症になる前に未来信託を組成しておけば、財産凍結や成年後見制度による諸問題を事前に防げます。

不動産の売買・賃貸といった各種の契約や解除、自社株の議決権の行使、遺言書の作成といったことを行うには法律上、それらを行った結果を判断できる能力(行為能力)が必要ですが、認知症になり、判断能力が低下するとこれらの法律的行為が行えなくなります。認知症になった後にも不動産の売買などの契約行為を行うための法的なしくみが、未来信託と成年後見制度です。
未来信託を利用して、認知症になったあとも自分の希望に沿った財産管理を!
未来信託を用いると、認知症が進行し判断能力が衰える前に、ご自身(委託者)の希望や想いを信頼できる人(受託者)に託して、認知症が進行した後の財産管理を任せることができます。成年後見制度のように、裁判所の厳格な監督のもと、財産を減らさないことだけを目的として堅苦しく管理するのではなく、信頼できる受託者が委託者であるご本人の意向や希望に沿うかたちで柔軟に財産管理が行えます。
もちろん、財産以外の部分については未来信託の対象とはなりませんから、成年後見制度と正しく組み合わせることで、よりよいサポート体制が作れるのです。

未来信託を行わなかった場合は、判断能力が低下し契約などの行為が難しくなったあとに家庭裁判所に成年後見の申し立てをすることになります。その後、家庭裁判所の調査が入り、おおむね2か月程度で後見人が選定され、後見人が本人に代わって財産を管理することになります(これを法定後見制度といいます)。法定後見制度の場合は親族ではない、見ず知らずの司法書士や弁護士などの専門家が機械的に指定されるケースが多くなってきており、信用できる親族が後見人になれる可能性は少なくなっています。こうしたデメリットがある一方、成年後見制度には身上監護という、被後見人の介護保険や病院の手続きなどをサポートする仕事があり、これらは財産以外のことですから、未来信託では対応できません。
そこでお薦めできるのが、任意後見契約です。これは本人がお元気な間に、最も信頼できる親族などに対して「将来私の後見人になってください」と指名する契約を公正証書で行う方法です。この契約をしておくと、見ず知らずの専門家が法定後見人として「土足で家庭に上がり込む」という事態はほぼ回避できますが、後見監督人として専門家が付けられて一定の報酬を請求されますし、結局は家庭裁判所の監督下に置かれることには違いないので、やはり未来信託との併用が必要であると思います。

■成年後見制度の問題点

成年後見制度は、とても重要な制度ですが、家庭裁判所や法定後見人が行っている現在の取り扱いには大きな疑問があり、数々の問題点が指摘されています。

1.裁判所の監督が入るため柔軟な財産管理ができない。


現在の成年後見制度は、被後見人が元気であった時の希望や意向、従前の生活状況などに全く関係なく、単に被後見人の財産を減らさないことが前提で管理され、いったい誰のための制度なのか分からなくなってしまっている状態です。例えば自宅の売却にも家庭裁判所の許可が必要になりますし、株式の売買、収益不動産の新規賃貸借契約や大規模修繕やリフォームによる収益性の向上など資産運用をするような積極的な財産管理はほぼ認められません。当然のこと、本人以外のために使うこともできず、一般常識では当たり前の、可愛い孫へのお年玉さえ出すことが難しいのです。

2.財産を管理する後見人を自由に選べない


親御さんの気持ちとしては信頼できる人に財産を託したいという気持ちがあります。しかし、現在の取り扱いでは、財産を管理する後見人も、本人が希望する親族になるとは限らず、見ず知らずの弁護士や司法書士などの専門家が機械的に選任されるケースが増えています。そして、これらの専門家が財産を横領する事件も少なくはありません。また、専門家は「仕事」として後見人になるのですから、相当な金額の報酬が毎月発生し、一度付けると「解約」ということは不可能なので、被後見人が死亡するまでずっと継続的に報酬の支払いは続きます。一方、未来信託を用いた場合は、誰の指示も受けずに自分の一番信頼する人に財産の管理を託すことができますし、報酬も必ずしも支払う必要はありません。そして裁判所の管理のもと無意味に財産を減らさないように管理するのではなく、信頼できる受託者が、委託者であるご本人の意向や希望に沿うかたちで財産管理を行います。また、前もって希望内容を信託契約書に入れることもできます。

3.障害のあるお子様の死後の財産を、面倒をみてくれた人に渡すことができない。


知的障がいのある長男の財産を次男が管理するケースで言うと、長男は遺言ができませんから、長男の死後に管理していた財産をすべて次男に渡すなどの方法が成年後見制度では取れず、次男以外の相続人とともに法定相続になってしまいます。また、親族以外に財産管理をお願いした場合などで、長男死後に財産を渡したい場合などは法定相続分がないので、渡す方法が全くありません。こういうケースでも未来信託を用いることで、長男の死後の財産はすべて次男などの、財産を管理したり、面倒をみてくれた人に受益権として渡すことができます。

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