―『モノ』を言う‼闘う若手司法書士からの進言―第4回

かつて「日本国憲法」という条文だけが記載された書籍がベストセラーになりました。ここで、日本国民にとって重要な条文をご紹介します。

 

【日本国憲法 第13条(個人の尊重と公共の福祉)】

すべて国民は、個人として尊重される。

生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、

立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

【日本国憲法 第14条(法の下の平等、貴族の禁止、栄典)】

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、

政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

②華族その他の帰属の制度は、これを認めない。

③栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現に

これを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

【日本国憲法 第29条(財産権)】

財産権は、これを侵してはならない。

②財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

上記の憲法の条文は、憲法が試験科目にある国家資格、公務員試験等を受験する際には必ず、一度は学習するところです。よって、憲法の中でも重要な国民の権利を根拠付ける条文になります。13条については、国民の幸福追求権について根拠となっている条文です。よく自己啓発本やセミナーで「自己実現」という言葉を耳にしますが、実は「自己実現」という言葉は、この13条に関しての判決文で最高裁判所の裁判官が述べた言葉です。時々、刑事裁判の判決の後に裁判官が被告に「説諭」という、諭す言葉があります。裁判官は真に法律の番人。使われる言葉にも重みがあります。「説諭」をまとめた書籍もありますので、興味がある方は、ご覧下さい。

私も陰謀論に興味があり、この14条はGHQが策定したように考えております。第2次世界大戦後、敗戦国の日本は「財閥解体」「特権階級の禁止」「華族制度の廃止」といった戦前に日本社会の中心にあった「人」「制度」を退場させました。あっ!しかし、昨年の池袋での痛ましい交通事故の加害者が「上級国民」と揶揄されましたね。

「遺留分制度」もこの13条にあるように、『個人として尊重される』とあるのに、どこかで、旧家族法、旧相続法の「お家制度」の名残を私は感じます。なぜかと申しますと、「遺留分権者」の権利を認める理由として「相続財産を取得できなかった相続人の生計のため」

「相続財産の形成に寄与が認められるため」という判例解説がありました。「相続人の生計のため」「相続財産の形成の寄与」ということは、亡くなった被相続人の故人のみの財産ではなく、「○○家」の財産として認める、と判断しているように私には思えるのです。

ということは、暗に「お家制度」を廃止したにも関わらず、相続の場面では、新「お家制度」を創設したようにも考えられます。

日本国憲法は、個人を尊重する、とあります。よって、かつては、女性の権利能力が否定され、選挙権もなく、その名残の言葉として、婦人のことを「○○さんの奥様」と今でも使います。(「奥様」の語源は、家の奥に居る方、すなわちご婦人の事を表現したそうです。現在も使われますが、その語彙を意識して使われていないと思います。)

29条によって、生きている間は私有財産権が護られ、最期の自身の財産の承継先を自身の意思で「遺言書」で指定できる。しかし、亡くなったれば、「遺留分権利者」によって、

「遺言書」で意思を遺したのに、侵害される。

亡くなれば、権利能力はなくなると言えば、それまでですが、民法は「遺言書」を民法に従って適法に遺しておけば、「遺言書」の内容を認める、とあるにの、「遺留分権者」が現れて権利行使すれば、そちらを認める。14条に法の下に平等とあるにも関わらず、不平等であると考えるのは私だけでしょうか?

「死人に口なし」と、言われれば、それまでですが。

 

★(注釈)

・新「お家制度」

⇒ ○○家の相続に関し、現行相続法の相続人に関係すると認められれば、適法に

被相続人の遺志に関係なく、その者の権利行使が認められる制度

(造語です、あしからず。)