3分間動画シリーズ シーズン2実践編その18

株式集中と親愛信託~「おひとりさま会社」のBCP対策のために~

動画は下記URLからご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCXTxHaB_KcuxrCacEeoGfJA

今回は「株式集中と親愛信託~「おひとりさま会社」のBCP対策のために~」として、親愛信託活用チェックシート会社法人編3―2「BCP対策信託」の内容を解説させていただきます。

3分間動画シリーズはシーズン2実践編その18です。

このチェックシートでは二番目に位置していますが、前回の株式分散と同じく極めて重要であり、かつ多くの対象会社が存在するにもかかわらず、あまり「リスク」として認識されていない部分なのです。

株主が1名しかおらず、かつその1名だけが代表取締役となっている株式会社は、相当数存在すると思われます。

10数年前に会社法が制定されるまでは取締役は3名以上必要でしたし、そのずっと前の昭和時代は株主1名の会社は認められていませんでしたが、現在は普通に「おひとりさま会社」が存在しています。

おそらく誰も、会社を設立する段階で自分が認知症や重病になるとは考えていないでしょうし、周囲の人たちも縁起の悪い前提で物事を考えたくはないので言い難いのでしょうけれど、それが実は大変無責任なことであり、リスクマネジメントが必要な場面であるということに気付いていただかなければならないと思います。

一方で中小企業経営者の平均年齢は60歳を超えており、かつ後継者が決まっていない会社が65%あるとの統計が出ていますように、実は「おひとりさま会社」のリスクが顕在化する可能性は日々に高まっているのです。

当たり前のことですが、唯一の株主が認知症や重病になれば、議決権を行使することができません。

そして自分自身が代表取締役であったなら、交替するための決議もできないということになります。

しかし従来は、この問題は重要視されていませんでした。

何故なら、中小企業では実際に株主総会を開催していない会社がほとんどで、単に紙の上だけで株主総会を開いたことにして、議事録の代表者の印鑑を押しておけば代表取締役の交替登記でも何でもできていたからです。

しかし「コンプライアンス」に煩くなった現代、それでは通用しない社会になっているということを知っていただかなければなりません。

また、認知症対策として存在している成年後見制度ですが、これは単に被後見人の個人としての活動の代理をするだけであって、成年後見人が代表取締役の代わりを務めてくれる制度ではないのです。

さてBCP(Business Continuity Plan)ですが、最近は中小企業の世界でもよく言われるようになってきています。

例えば、大災害などの際にも事業が継続できる体制を整えておくなどの取り組みは多く行われているのですが、実はこの「おひとりさま会社」のリスクに関しては完全に見落とされているのが現状です。

もちろん、他にも株主が存在していれば「おひとりさま」ではなくなりますが、株式を移転するには費用や税金がかかりますし、そもそも株主として適当な人材が居るかどうかも分からず、さらに「おひとりさま」だからこそ自由で柔軟な発想で経営できるという大きなメリットを捨てることには抵抗があるでしょう。

そこで親愛信託の出番となるのですが、単に株式を受託者に信託するだけでは、信託したその日から元の株主は議決権が行使できなくなり、「おひとりさま」の大きなメリットを手放さなければならなくなってしまいます。

そこで「指図権」という仕組みを導入するのが、このBCP対策信託の大きな特徴となるのです。

指図権とは、受託者に対して「指図」をする権利、このケースであれば「このように議決権を行使せよ」と命じる権利なのですが、信託法の規定の中には存在しておらず、任意で作った地位です。

英米法体系である信託法は多くの箇所に「別段の定めを置くことができる」と書かれており、このような法律の条文にない地位を創作することも許されているということなのです。

この手段を使えば、現経営者が元気な間は自らが代表取締役の地位にあって経営を担当しながら、株主としての議決権は受託者に指図をして思うままに行使できるのですから、信託する前と何も変わるところはありません。

しかし、現経営者が認知症や重病になった時には、指図権が行使できなくなるのですから、その後は受託者が自らの意思で適切に議決権を行使して、代表取締役の交替を含めた今後の会社運営のための仕組みを合法的に作り上げることが可能になるのです。

もちろん、信託ですから二次以降の受益者を決めておくことによって承継機能も使うことができますし、必要であれば各種の制限機能なども付加することができ、総合的な対策となり得ます。

次に、応用編として、属人的株式を使う方法を紹介します。

これは、会社法で認められている「定款に規定することによって特定の株主に対して特別な権限を認める仕組み」で、ここでは経営者株主以外に信頼に足る株主が存在するとして、その株主の議決権を条件付で大幅に増加されるという方法です。

例えば株主Aが元気な間は株主Bは少数株主に過ぎませんが、Aに緊急事態が生じた際にはBの議決権が100倍とか1000倍になり、B一人で次の代表取締役を選定するなどの権限が発生するという取り決めが考えられます。

これを「ヒーロー株」は呼ばれており、BCP対策信託の仕組みが考案される前は、この仕組み以外に方法がなかったので、今でも使っている会社があると思いますが、信託より簡単ではあるにせよ、やはり不安定な部分があるので、その会社ごとの必要性や重要度の比較で活用いただければと思います。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

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