3分間動画シリーズ シーズン2実践編その16

おひとりさまと親愛信託~お一人様の財産を希望通りに承継させるために~

動画は下記URLからご覧ください。

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3分間動画シリーズはシーズン2実践編その16です。

今回は「おひとりさまと親愛信託~お一人様の財産を希望通りに承継させるために~」として、親愛信託活用チェックシート財産管理編2―8「おひとりさま信託」の内容を解説させていただきます。

このチェックシートでは、資産承継編の最後に位置していますが、一般的には「おひとりさま」には「家族」が居ないというのが前提ですから、そもそも「家族信託」が使えると思っていない人も多いようです。

しかし、実はそうではありません。

この仕組みは、知る人が増えれば社会のために役立つのではないかと考えられますので、是非ともご活用いただきたいと願っております。

さて、おひとりさま問題ですが、近年は特に生涯独身を通す人や、離婚したままで再婚しない人が増加してきており、もう昔の「家族制度」は崩壊に向かっているのですから、今後もなくならない課題であると思います。

すなわち、昭和22年の家族制度を前提としている現行民法が全く想定していない世界に突入しているということですね。

おひとりさま問題には、これまでの承継系の信託で対象としてきたテーマとは違う部分が幾つかあります。

まず「家族が居ない」ということから、相続人との関係を完全に断ち切った上で信託を設計できるということです。

ご承知と思いますが、兄弟姉妹は相続人になることはあっても、遺留分請求権がありませんから、相続から完全に除外しても問題は発生しません。

それなら遺言や生前贈与で全て解決するのではと思われるかも知れませんが、遺言という制度は、遺言作成段階で財産を得る人を特定しておかなければならないという問題がありますし、生前贈与では贈与した段階でその人の財産ではなくなってしまいますし、課税の対象にもなってしまいます。

おひとりさまでよくあるケースとして、今の段階での財産は自分で保有して自由に使い、死亡した段階で世話になった人とか公益法人とかに渡すようにしたいと言われることが少なくないので、すなわち遺言や生前贈与では対応が困難なのです。

では生命保険はどうかと申しますと、保険法上では規制されていないものの、保険金殺人などのリスクを回避するためなのか、現段階の保険会社の取り扱いとしては、死亡保険金の受取人は、同性婚パートナーとかの一部例外を除いては法定相続人に限定されていますので、やはり対応が難しい状態です。

これもご承知かとは思いますが、兄弟姉妹も含めて全く一人も相続人が存在しない状態で相続が発生してしまうと、特別縁故者などの制度は存在するものの、最後は財産が全て国庫帰属となってしまいますので、単なる土地だけとかならともかく、分譲マンションや中小企業株式などが国庫帰属になってしまうと、実質的に宙に浮く結果となりますので、それは何とか回避したいところでもあります。

そこで、遺言とは違って受益者死亡後にでも二次受益者を決めることができ、かつ財産を「相続」から完全に切り離すことができる親愛信託の登場となるのです。

この図でのAさんには縁の薄い兄弟姉妹しか法定相続人がおらず、財産は相続人ではなく自分が死亡した段階で適切な人、あるいは公益法人などを指名したいと考えているとします。

しかし、現段階では財産の承継先が何処なのかは決めかねているということですから、これこそまさに信託特有の機能である受益者指定権の活用場面なのです。

この場合の受託者ですが、本当に誰でも構わず、ここでは知人を指名していますが、どうしても受託者が見付からなければ一般社団法人を使ってもいいですし、最後の手段としては認知症対策という部分を捨てて自己信託を使っても構わないと思います。

また、ここでは受益者指定権者を受託者と同一人物にしていますが、これも誰でも構いません。

このような仕組みを作っておきますと、Aさんが元気な間は自由に財産を使って、死亡した段階で受益者指定権者が、事前にAさんから提出されたリストなりに従って二次受益者を指定し、受益権の配分が終わった段階で信託を終了して民法財産に戻せばよいということになります。

もちろんAさんの意思次第ですが、もし受託者自身には受益権を渡すべきでないと考えるなら、受益者指定権で指定できる受益者を何名かに限定したり、受託者自身を除外する規定を信託行為(自己信託の場合は契約ではないので、信託の内容が書かれた文書を信託契約書ではなく信託行為と言います)に入れておけば良いのです。

次に、応用編として「おともだち信託」を紹介します。

これは、3人の人が互いに委託者、受託者、そして必要によって受益者指定権者となる信託契約を行い、死亡した順に輪から抜けて、最後に生き残った者が死亡した段階で最終的な受益権の行方を決めるという仕組みです。

実際に、現在は血縁に関係なくグループホームやシェアハウスなどで共同生活をしている人たちも存在しているようですし、その方々の財産を互いの希望通りに承継させ、最後は寄付なりでもって社会に還元するという発想は、今の時代に合った適切なものではないかと思います。

もちろん、後で別の人を加入させて「信託の輪」を永続させて行くという仕組みも有り得るでしょう。

こういった「家族信託」ではない信託に関して、一番問題になることが多いのが、「登場人物不足」です。

親愛信託を作るには、例え最初は自己信託でスタートしたとしても、いずれは二次受益者や受益者指定権者を決める必要がありますし、一般社団法人を使うにしても社員が2名必要ですから、あとは個別にご相談いただくことになろうかと思います。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

お待ちしております。