3分間動画シリーズ シーズン2実践編その15

ペットと親愛信託~ペット飼主の心配事をペット信託®で解消する~

動画は下記URLからご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCXTxHaB_KcuxrCacEeoGfJA

3分間動画シリーズはシーズン2実践編その15です。

今回は「ペットと親愛信託~ペット飼主の心配事をペット信託®で解消する~」として、親愛信託活用チェックシート財産管理編2―7「ペット信託®」の内容を解説させていただきます。

ペット信託®と表記していますが、ペット信託は私が考案した仕組みであり、そして商標登録しているからです。

このチェックシートでは、資産承継編の七番目に位置していますが、社会問題ともなっている高齢者のペット飼育を一つの原因とするペットの飼育放棄を防止し、ひいては行政によるペットの殺処分を解消することを目的とする取り組みの一つです。

是非とも、この仕組みをご活用いただきたいと願っております。

さて、ペット問題ですが、近年は飼育環境やペットフードの改良などの影響なのか、犬や猫などのペット動物の寿命が画期的に伸びており、犬の場合には15年以上生きる可能性が高くなっているようです。

そして、人間の方では、認知症の進行を遅らせる等々の効果もあるためか、高齢者のペット飼育のニーズが高まっています。

そこで問題になるのが、高齢者が飼育しているペット動物が、飼い主に認知症や死亡などの「飼えなくなる理由」が生じた際にどうなるかということです。

昔の猫などなら放し飼いですから自分で何とかしたのかもしれませんが、今のペットの大半は室内飼育ですから、飼い主不在では生きて行くことができません。

かと言って、賃貸住宅の大半がペット飼育禁止ですから、安易に親族や知人に飼育を頼むということも難しく、結局は迷惑を受けるのが何の罪もないペット動物ということになってしまいます。

最近では関係者の精力的な活動の成果もあって減少傾向にはありますが、飼い主を失ったペット動物が行政の手によって殺処分にされてしまうというケースは無くなってはいません。

そういったことから、ペットを最後まで安心して飼育するための仕組みが待望されていました。

そこで、これまでも数々の対策が考案されてきたのですが、昔からあるのが「負担付遺贈」です。

これはペット飼主が遺言を書き、自分の死後のペットの世話をしてくれることを条件として誰かに遺産を与えるというものなのですが、残念ながら実効性には疑問符が付きます。

何故かと申しますと、いくら遺言に条件を付けたとしても、一度渡してしまった財産は貰った人のものなのですから、その人が約束を守ってくれるかどうかは本人次第ということになってしまうことと、その人が受け取った財産も「相続財産」ですから、他の相続人から遺留分請求があった場合には取り戻されてしまうというリスクがあるからです。

これは生前贈与でも同じことで、誰かにペットの飼育資金を贈与しておいたとしても、相続人から「特別受益の持戻し」という主張をされてしまうことがあります。

さらに申しますと、ペット動物自体が民法上では「動産」とされますから、飼い主が死亡すればペット動物は相続人のものになり、その人が「殺処分」を認めてしまえば殺処分されてしまうということになるのですね。

それは「財産は相続人のもの」という前提で作られている日本の相続制度の範疇にある限り、逃れようのないことなのです。

そこで、財産を「相続」から切り離すことができ、かつ「制限機能」を持っている親愛信託の登場となるのです。

これも、他の死後事務系の親愛信託と同じく、ペットが天寿を全うするまでの飼育に必要な費用を事前に切り離しておくことがメインテーマとなります。

そのことから、ペット信託とは単なる金銭信託だと思い込んでる向きも多く、実際に信託会社などが「ペット信託もどき」の商品を販売したりしているようですが、先に書きましたように、ペット自体が相続財産として相続人のものになるのですから、せっかく飼育費を金銭信託していても、ペット自体が殺処分になってしまっては元も子もありません。

そこで、本当のペット信託®の仕組みには、ペットである動物自体を「動産」として信託財産に組み入れるという大きな特徴があります。

どうしてペット自体を信託財産に組み入れるかと申しますと、相続人にペット自体の所有権を渡さないという目的と、受託者の権限を明らかにするという目的があるのです。

受託者は信託財産を管理する義務を負いますから、ペットが信託財産であれば当然にペットを管理する義務を負い、もちろん自分で飼育しても構わないのですが、一般的にはペットを飼育してくれる施設などに金銭を支払って依頼することになるでしょう。

その場合に、信託財産であるペットの管理費用は当然のこと信託財産である金銭を充てることになりますから、これで受託者の権限と金銭の流れが明確になり、相続人などの外部からクレームを付けてきそうな者たちに対して飼育費の支出の正当性を主張することができます。

このような制限機能の付いた信託の受益権の性質ですが、制限が解除される、このケースであればペットが全部死亡するなどの理由で飼育費の支出が終了するまでは、受益者は権利を行使できないということになりますが、そこで問題となるのは相続税だと思います。

相続税の世界にも「負担付遺贈」という考え方は存在しますので、ペットの飼育費を明確な根拠をもって計算しておけば、飼育費用に相当する部分については課税額から控除可能と考えられます。

その意味もあって、信託財産とする金銭の金額決定と資金の確保がペット信託の一つの大きなポイントとなりますが、信託組成時には金額が不足していても、事後に金銭を追加信託する方法もありますし、少しテクニックが必要ではありますが、生命保険の死亡保険金を充当する方法もなくはありませんから、個別にご相談ください。

もちろん、生命保険信託の併用も視野に入れていただいて結構だと思います。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

お待ちしております。