3分間動画シリーズ シーズン2実践編その13

遺留分と親愛信託~「天下の悪法」遺留分制度から財産を守る~

動画は下記URLからご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCXTxHaB_KcuxrCacEeoGfJA

3分間動画シリーズはシーズン2実践編その13です。

今回は「遺留分と親愛信託~『天下の悪法』遺留分制度から財産を守る~」として、親愛信託活用チェックシート財産管理編2―5「遺留分対策信託」の内容を解説させていただきます。

このチェックシートでは、資産承継編の五番目に位置していますが、いよいよ親愛信託の真髄に迫り、かつ「法律界最大のタブー」に触れる内容となっております。

皆さんそれぞれにご意見はあろうかと思いますが、ここでは遺留分は「天下の悪法」、そう断言させていただきます。

歴史的な部分や詳しい法理論的な部分は他の動画解説などに譲りますが、この制度が正しいのか間違っているのか、とにかく皆さんそれぞれに自分の頭で考えていただきたいのです。

日本国憲法は私的財産権の保障を明確に謳っており、日本国民の財産は各個人のものであって、それを国が奪い取ることは「公共の福祉」という一部の例外を除けば、絶対に有り得ないことになっています。

すなわち、自分の財産を自分の思い通りに使ったり与えたり捨てたりする権利は、日本国憲法で認められている基本的人権の一つであると思います。

ところが、民法の特に「相続」の規定に関しては全くその考え方に依ってはおらず、人が死亡したら自動的に国が勝手に決めた「法定相続人」に財産が渡るという仕組みになっています。

つまり、死亡した人の意思は尊重されないということですから、もうその時点で日本国憲法の趣旨に反していると思われませんでしょうか?

そして、明治民法時代に「家の財産」を守るために「家督相続人」に認められていた権利であった遺留分請求権が、現代では親不孝者や居座り配偶者が「財産を奪う」ためのツールに成り下がっており、まさに異常かつ不条理そのものの制度であると考えるのですが、そのことに誰も気付いていない、あるいは気付いていても決して口にはしないのです。

既存の対策である遺言では、もう最初から遺留分に抗う術もなく、取られるがままに任せることになり、そのため世に多く存在する「自称:相続の専門家」は、顧客に対して「遺留分に配慮してください」などという寝ぼけたアドバイスをして信用を失っています。

だって、遺留分に配慮したくないからこそ専門家に相談しておられるのですから、まさに本末転倒も極まれりという話なのですが、専門家側は全く気付いてもいないようです。

生命保険は、死亡退職金と共に、既に遺留分に打ち勝っている制度です。

しかし残念ながら両者ともに「金銭」でなければ取り扱うことができず、日本人の財産の多くの割合を占める不動産や、中小企業の株式などに関しては活用できません。

「悪法でも法」ですから、遺留分制度が廃止もしくは力を失うまでの間は、他の手段で何とかするしかありません。

そこで究極の手段として登場するのが親愛信託ということです。

いずれにしても受益者連続型信託を活用するのですが、「対抗型」と「給付型」の二つのパターンが考えられます。

まず対抗型は、とにかく遺留分権利者を無視して信託受益権を相続とは関係なく自由に承継させて、訴訟してくるならしてこい、戦って勝ち抜くぞ、という考え方です。

英米法の世界ではこれだけで100%解決ですが、我が国ではまだ裁判例が出されていませんので、責任を取りたくないのでしょう、訴訟の結果を極度に怖がる専門家も少なくはなく、ほとんど普及していませんが、考えてみれば100歩も1000歩も譲って遺留分請求権者に遺留分相当金額を支払うことになったとしても、それでなお遺言と同等の効果は残っている、すなわち「信託≧遺言」ということなのですから、言ってみれば「勝ちか引き分けしかない」「負けがない」勝負なので、何も怖がる必要はないと思うのです。

次に給付型ですが、これは敢えて遺留分相当割合の受益権を遺留分請求権者に一度渡して、その者が死亡すれば本来渡したかった者に受益権を戻すという仕組みです。

これであれば、法理論上は遺留分請求権者が遺留分相当割合の財産を受け取っているのですから、遺留分請求訴訟自体が困難になるということですね。

ここで相手側が「一代限りの受益権では遺留分に足りない」という主張をしてくる可能性はありますが、信託の持つ制限機能や、信託法第91条で決められた受益権の性質から言えば、その主張は取るに足りないと考えて差し支えないのではないかと思います。

これについても最終的には最高裁判所の判断になろうかとは思いますが、今の段階で遺留分請求に対して対抗策として取り得る手段としては、金銭以外の財産については親愛信託しか考えられないのですから、大いに活用していただきたいものです。

信託受益権に対して遺留分請求ができない根拠ですが、大きく三つあると思います。

まず、「信託受益権は民法の規定ではなく信託法の規定でもって承継される」という点です。

信託受益権の性質として、受益者が死亡した場合の次の受益者は信託行為で決めることになっており、もし信託行為で承継先が決まっていなければ宙に浮くということになっていて、その場合に限って「相続」になるというものではありません。

その点でも民法上の財産とは一線を画する権利であることは明らかです。

次に、民法第896条で相続の対象となるのは「被相続人の財産に属した一切の権利義務」とされていますが、信託法第91条に基づく受益権は受益者の死亡と共に「消滅」し、新たな受益権が次の受益者に「発生」しているのですから、「そもそも相続財産ではない」ということです。

民法上の所有権には「消滅」という概念がありませんから、全く別の性質を持つ財産であるということですね。

最後に、信託と類似の法的構造を持つ生命保険と死亡退職金が既に「相続ではない」という結論を得ているということです。

すなわち、日本人の財産には相続以外の承継ルートが存在しているということであり、信託受益権もその一つの形であるということですね。

実際、信託法が改正される前の時点で、立法担当者が「相続とは異なる財産承継ルートを作る」と発言し、それで信託法第91条ができているという過程を見ても、受益権に民法の規定が適用されないのは当然のことなのです。

そういうことですから、是非とも自信を持って「天下の悪法」遺留分と戦うために親愛信託を活用していただきたいと願っております。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

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