3分間動画シリーズ シーズン2実践編その12

再婚と親愛信託~再婚した人の財産の適切な承継を実現する~

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3分間動画シリーズはシーズン2実践編その12です。

今回は「再婚と親愛信託~再婚した人の財産の適切な承継を実現する~」として、親愛信託活用チェックシート財産管理編2―4「再婚型信託」の内容を解説させていただきます。

このチェックシートでは、資産承継編の四番目に位置しており、前回の「カップル」同様、民法の世界では絶対に実現不可能な仕組みであって、さらに本格的な「受益者連続型」の出番だと思っております。

前回も昭和22年に制定された現行民法が如何に時代遅れであるかを述べましたが、婚姻意識という部分でも、それが良いか悪いかの議論はともかくとして、70年前と現代とでは全く違ってきていることは間違いのない事実であると思います。

もちろん本人同士は自由に結婚して離婚しても問題はないのですが、両者の間に子が居る場合には、民法的には財産面での問題が発生することになります。

特に問題なのは、離婚した前配偶者との間に子が居た場合、直接の関係性は皆無になったとしても、その子は永久に相続人であり続けるということですが、実は一般の方々の多くは、そのことを知らずに過ごしているのです。

と言いますのは、離婚して親権も手放した場合、その子は戸籍から離れて行きますので、一見すると相続人からも外れているような印象を持ってしまうのが普通の感覚であるからです。

現実に、その人が死亡してから、前の結婚のときの子が登場してきて「争続」になるというケースは少なくありません。

もちろん既存の方法として遺言という対抗策はありますが、ご承知の通り遺留分請求に勝てる術はありませんから、結局は遺留分請求権者が、いわゆる「笑う相続人」になってしまう可能性が高いのです。

さて、再婚型信託は、前回ご説明した「ブーメラン型信託」の応用ですが、両者に「遺留分請求権」を持つ子が居るという部分が違っています。

その意味から、受益者連続が更なる意味を持つということになるのですね。

この事例でも、もしAが現配偶者のDもしくは両者の間の子であるEに財産を相続させよと考えている場合、当然ですが何も対策をしなければ前配偶者の子であるCに4分の1の法定相続権が渡ります。

一般的には前配偶者の子との関係は希薄になっていることが多く、場合によっては音信不通ということも少なくないと思われますが、Aの相続はCの関与なしには何一つ進めることができません。

そして仮にAが遺言をしていたとしても、Cには8分の1相当の「遺留分侵害額請求権」が残ってしまうことになります。

遺言があったとしても、それが自筆証書遺言であれば家庭裁判所での検認手続きの際にCに連絡が入ることになりますし、公正証書遺言であったとしても遺言執行者はCに通知をしなければならない義務があるのです。

そういったことから、前配偶者の子が存在するケースでの相続は困難を極めるのが最初から分かっているのですが、前述のように前配偶者の子に相続権があると理解していない一般人が多いので、その人の死後に問題が勃発するということになり、もし死亡した人が中小企業のオーナー経営者であった場合などは、本当にとんでもない事態に陥ってしまいます。

その点、親愛信託を活用すれば、それは「相続」ではありませんから、まず前配偶者の子に通知をする必要はありません。

遺留分侵害額請求権の時効は「相続開始を知ってから1年」もしくは「相続開始から10年」ですから、この例でのAが死亡してから10年間、CがAの死亡に気付かなければ遺留分請求権は時効で消滅します。

そして、これも前回ご説明しましたが、この例でのAが死亡して受益権が現配偶者のDに渡り、さらにDが死亡して子のEに渡った場合、少なくともDからEへの受益権の移動に関しては前配偶者の子であるCには何等の関係もないのですから、遺留分の問題が生じることは絶対にないということになるのです。

もちろん、完全に前配偶者の子を外すという設計ばかりではなく、受益権の一部を与えるという設計でも構わないのですが、その場合には「次の次」を考えておかないと、財産がバラバラになってしまう可能性がありますので、十分ご注意ください。

そして最終的にEが受益権を取得した段階で、もう対策が必要なくなっているのであれば信託を終了して所有権に戻しても良いですし、またEの時代における別の対策が必要という状況であるのなら、Aが遺した親愛信託の枠組みをそのまま活用して内容だけを変更すれば良いのです。

これもカップル型信託と同じで、双方が互いに親愛信託を組成するという手段です。

最近では「配偶者居住権」なる変てこりんな権利が認められるなど、自分の死後の配偶者の暮らしを心配する向きも多いようですから、財産権を一旦は配偶者に渡したいというニーズが多いのかも知れません。

しかし、所有権で配偶者に渡してしまうと、前婚の際の子に法定相続権が発生してしまいますから、このように互いに受益者連続型の親愛信託を行うことで、それぞれの財産は配偶者を経由して本来渡すべき子の方に戻ってくるという道筋を確定しておくことが可能になるのです。

ここではAB間に子が居ないケースを設定していますが、子が居たら居たで配分とその後の財産の行方を考えれば良いだけですし、契約後に変更しても構わないのですから、いろいろな意味で柔軟な設計を行うことが可能となります。

再婚に対しては民法上での対策は無力と考えてもよいくらいに弱いものなので、こんな場面こそ親愛信託の出番であると思います。

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