3分間動画シリーズ シーズン2実践編その3

空き家対策と親愛信託~自宅に最後まで居住するための対策を行う~

動画は下記URLからご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCXTxHaB_KcuxrCacEeoGfJA

3分間動画シリーズはシーズン2実践編その3です。

今回は「空き家対策と親愛信託~自宅に最後まで居住するための対策を行う~」として、親愛信託活用チェックシート財産管理編1―3「空き家対策信託」の内容を解説させていただきます。

このチェックシートでは、財産管理編の三番目に位置していますが、「空き家問題」は社会的な課題にもなっていますし、その予防策・解決策の一つとしても、一般的な親愛信託のニーズとしても、意外と結構な数があるのではないかと思います。

ただ、この空き家対策信託は、あくまでも空き家所有者側による対策に過ぎず、空き家問題の根本的な解決のためには民法の相続制度全体の見直しや、空き家流通市場の確立、それ以上に我が国の人口減少問題など、他にも重要なテーマがあり、それについては「5分間動画シリーズその5 空き家問題」でも語っていますので、ご参照ください。

さて、空き家の発生原因ですが、一つの要因として「日本人のマイホームへの執着」が挙げられるでしょう。

自分が苦労して購入したマイホームに生命が尽きるまで居住し続けたい、その気持ちはよく分かります。

しかし現実には、核家族化した現代、高齢者が単独もしくは高齢者のみの世帯で人生の最後まで生活を続けることには数々の障壁があり、認知症や重病になって自立した生活が送れなくなった時点で、自宅を離れて施設なり病院なりに移動しなければならなくなるケースも少なくありません。

そして、施設に入所あるいは病院に入院して高度な医療を受けるためには相当な金額を支払わなくてはならず、その費用に充てるために自宅不動産を売却する必要に迫られるケースも考えられます。

実は、一昔前の時代までは、不動産所有者本人が手続きできなくても、家族なりが代わりに契約書に署名したりすれば何とでもなっていたのですが、変に「コンプライアンス」が煩くなっている現代、そのような便法は一切通用しなくなりました。

そこで登場しているのが成年後見制度なのですが、これも「5分間動画シリーズその6」で解説しておりますように数々の問題点があり、特に「不動産の売却のためだけに」といった限定的な活用ができず、一度成年後見制度を使ってしまうと、本人が死亡するまで継続しなければならず、しかも専門家後見人が付けば最後の日まで報酬が発生し続けるという大きな問題から、あまり一般市民には受け入れられていないのが現状です。

こうして、居住者を失った不動産は「空き家」となってしまい、さらに所有者が死亡した後も、相続で揉めてしまえば誰も手を出せなくなり、さらに価格の安い不動産であれば買い手が付かずに売れないまま空き家として荒廃して行くという結果に陥ってしまいます。

空き家対策信託自体の仕組みは、単純な「家族信託」である認知症対策信託と大きくは変わりません。

ただ、委託者兼受益者が生存中に信託財産になった不動産を売却換金することが前提になっていることに一つの相違点があります。

これは、意外と専門家も見落としている観点のようなのですが、信託財産である不動産を売却した場合、単に不動産であった信託財産が金銭である信託財産に「両替」されるだけで、不動産に関しては信託財産ではなくなるのですが、信託契約自体は終了するのではなく、そのまま存続しているということを忘れてはいけません。

受益者の入所費や治療費を支払う行為は信託とは関係ありませんから、受託者が直接に行うことはできないのです。(ここを間違って話している専門家も居るようですが・・・)

ですから、通常は受益者と受託者との合意によって信託を終了させ、受益者個人の金銭にしてから、受益者自身が支払いを行うことになります。

それでは、仮に受益者が認知症になってしまっていたとしたら、不動産を売却して得た金銭を、受益者の施設入所や医療のために使うには、どのようにすれば良いのでしょう?

それに、そもそも信託を終了できないのではないでしょうか?

そのあたりをクリアしておくノウハウが必要ですので、空き家対策信託は単純な認知症対策信託より多少は難しいということですね。

空き家対策信託の全体像は、このような感じで、認知症対策信託と大きくは変わりませんが、信託不動産の売却を前提としていることから、受益者の認知症や重病に備えて受益者代理人を置くことと、先ほど申し上げましたように既に認知症等になってしまった受益者が法的に有効な支払いができる状態を事前に作り出しておくという手配が必要になることにご注意ください。

さて、空き家対策信託には、認知症対策信託類似の基本形以外に、幾つかの応用形が考えられます。

空き家対策の一つの手段として最近脚光を浴び始めているのが「リースバック」です。

一般的なリースバックは、自宅不動産を不動産業者や金融業者等に売却して金銭を受け取った後、居住者が死亡するまで賃貸借契約でもって住み続けられるという、とても便利な仕組みです。

しかし、この仕組みは売主側にも買主側にも問題点やリスクがあるため、まだまだ普及途上にあります。

居住者である売主側にとって最大の問題点は、何と言っても所有権移転によって不動産の名義が変わってしまうという部分でしょう。

そして、もちろん大多数の業者はそんなことはしないでしょうけれど、賃貸借契約になった後に追い出されるとか、本当に生存中ずっと住み続けられるのかいう不安を持たれるケースもあると思います。

また買主側にとっても、所有権を移転することによる不動産取得税などの負担もありますし、賃貸借契約によって居住権が発生して、居住者の死亡後も物件を返して貰えなくなるのではないかとの不安があります。

実は、それらを全て綺麗に解消する仕組みが、自己信託を使ったリースバックなのですが、大変複雑な仕組みで、まだ世に出ていないものですから、詳しい内容については、直接お問い合わせください。

簡単に解説しておきますと、自己信託をして受益権に関しての売買契約を行うことで、以前の所有者はそのまま名義を保つことができ、かつ買主側も流通税の負担が軽減することになります。

先ほど申し上げました賃貸借契約に関しての不安については、個別にご相談に応じますので、もし案件があればお知らせください。

自己信託については、いずれ別途に動画で解説する予定ですが、実は無数の活用法があります。

ところが、頭の古い法律家を中心に、自己信託を理解しようとしない、あるいは活用に反対する勢力があるようで、未だに全く普及していません。

しかし信託の本場であるアメリカやイギリスでは普通に活用されている仕組みですので、いずれは我が国でも自己信託が当たり前の時代が来ることと期待しているところです。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

お待ちしております。