3分間動画シリーズ スペシャル企画:「ある判決」に対するデマと誤解

動画は下記URLからご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCXTxHaB_KcuxrCacEeoGfJA

河合保弘が本日2021年4月1日から新たな行動を開始することになり、100%自らの責任でもって情報発信できる状況になったことから、今回はスペシャル企画を用意しました。

おそらく多くの専門家の方々が気にしておられるであろう「ある判決」に対するデマと誤解~信託無効?遺留分に負けた?全てデマと誤解です!~についての解説です。

つい最近も耳にしたのですが、結構名前が売れている某専門家のセミナーにおいて、この判決のことが誤った内容で語られていたとのことで、このデマと誤解が親愛信託の正しい普及の妨げになっていることが明らかであると考えましたので、敢えて動画で取り上げることにしました。

訴訟の話だけにハードな内容になりますし、全ての情報を公開することはできませんが、可能な範囲で解説します。

これは、専門家の間では有名な判決なのですが、その判決が「極めて中途半端な内容」であるため、その一部分だけを取り出し、親愛信託の普及を妨げる悪意の目的なのか、それが「デマ」として広く流されているようです。

デマの主な内容は「信託が公序良俗違反で無効と確定した」「信託契約が遺留分請求に負けた」「遺留分制度は絶対的な相続秩序である」といったものですが、全てウソです。

しかし、よく調べもしないでデマを信用してしまっている専門家が少なくないようで、その結果、先にも申し上げましたように、親愛信託自体の正しい普及が妨げられている状態になっています。

実際にセミナーなどで「信託をしても無効になる可能性が高い」「遺言の方が安全だ」「認知症対策だけの家族信託にしておくべき」などと言っている専門家も存在しているようで、それでは信託の本質を何も理解しないまま、単純な認知症対策だけの「家族信託」しか普及しないという結果になりかねませんので、親愛信託の正しい普及を目指す者として、大きな危機感を持っています。

では、真相をお伝えします。

まず、この東京地裁判決は、その後に双方が不服として控訴され、東京高裁での訴訟進行中に、双方の合意でもって「信託契約は全部有効」との前提で和解が成立しています。

専門家なら誰でもご存知のように、上級審で和解が成立すれば、下級審での判決は完全に効力を失い、無意味なものになります。

一般の方々に分かり易い説明をするとすれば、例えば一審で「有罪」となったとしても、控訴して上級審で「無罪」とされて確定すれば、もう一審の有罪判決は消えるという感じですね。

ところが、こんな単純なことを正確に調べようともしないで、一審判決があたかも確定した「判例」であるかの如くにセミナーで語っている専門家が存在するというのは、同じ専門家として恥ずかしい思いしかありません。

さらに詳しく言いますと、この訴訟は、元々は原告が自分に不都合な内容の信託契約について「信託契約の際に委託者の行為能力が不十分だったため契約が無効である」と主張しているものであって、そもそも「遺留分訴訟」ではありませんし、判決の中でも和解調書の中でも一度たりとも「遺留分」という言葉は出てきていないのです。

そして、地裁は数多くあった信託財産のうちの一部について「公序良俗違反」を理由に原告側に有利な内容の判決を出し、それ以外の部分については原告の主張を完全に退けて、受益者連続の規定も含めて全て有効とし、いわば作為的に「痛み分け」にしようとしているみたいな、とても変な判決内容になっているのですが、いずれにしても上級審での和解によって既に効力を失った判決であることは、絶対に動かせない事実なのです。

すなわち、少なくとも現時点において、実は信託と遺留分に関する判例は一つも存在してはいません。

それどころか、同時期の東京地裁で、信託契約の無効を訴えた訴訟が二つあり、いずれも信託契約の片方の当事者が「気が変わった」「そんな契約内容とは思っていなかった」とかの理由で信託契約無効を主張しているのですが、裁判所はいずれも契約は有効であるとの判決を出し、かつ既に確定しているという情報を得ています。

要するに、信託契約の段階で当事者双方に契約行為が可能なだけの判断能力があり、確定的に契約締結の意思表示をした限り、それが無効になることは、余程のことがない限り有り得ないということなのです。

いつも申し上げていますが、信託法は民法とは一線を画す全く別の法律です。

そのことをよく理解した上で信託行為を行うなら、遺留分制度という「天下の悪法」と正面から戦うことが可能であると考えています。

そして結論です。

実は私こと河合保弘は、この判決に関する「全て」を知っております。

もちろん訴訟ですから、内容の全てを公開することはできませんし、これまでは所属していた組織などの各所に配慮して、あまりこの判決の話はしないようにしておりました。

しかし、冒頭にも書きましたように、2021年4月1日から、組織を離れて個人として発言に責任を持つことができるようになったことと、未だにデマを信じて間違った情報をバラ撒いている専門家が存在していると知ったことから、認識を改めようと思うようになったのです。

少なくとも和解で終結して一審判決の効力が消滅していることも含め、特に専門家の方々には真実を知っていただき、信託と遺留分の関係、もっと大きく言えば信託法と民法の関係について、権威ある文献や偉い先生の話を検証なしに信じ込んでしまったり、変なデマや誤った情報に惑わされるのではなく、それぞれが自分の頭で真剣に考えていただきたいと願っています。

繰り返しますが、契約時点での当事者の行為能力さえ万全であれば、信託が無効になる可能性は限りなくゼロに近く、そこさえクリアすれば信託は万全なのです。

そして信託は、どこからどう考えても遺言よりも優れた制度ですから、現在の「家族信託」のように認知症対策ばかりに偏るのではなく、本当に信託の威力が発揮できる承継対策にこそ活用すべきであり、またそれが多くの善良なる国民のニーズであるということを。決して忘れないでいただきたいと思っております。

これ以上の内容を知りたい方、あるいはご質問、ご相談、さらに講演や原稿の依頼については、よ・つ・ば親愛信託総合事務所までお問合せください。

お待ちしております。