マリンの部屋番外編:5分間動画シリーズの解説第10回

第10回の解説よ!

今回は「事業承継の基礎知識」。

「事業承継」っていう言葉は、それを語る人の専門性や捉え方によって微妙に意味が違ってきていたり、あるいは完全に偏った概念で思い込んじゃっている人も少なくないようだから、親愛信託との関係も含めて、ここで整理しておくね。

中小企業の経営者の平均年齢が60歳を超えてきているみたいだし、本当は既に「待ったなし」の状況なんだけど、意外と見落とされて他の経営課題より後回しにされていたり、「相続」と混同して縁起の悪いものだと思い込まれている部分があるから、正しい認識を普及しないといけないと思うの。

事業承継とは、その言葉のとおり、「事業を永続的に運営するため、あらゆる経営資源を次世代に承継する取り組み」なの。

だから会社経営の根幹に関わる大きな問題であって、そう簡単に一言で語れるものではないと思うわ。

事業承継の三大要素として「経営の承継」「経営者の交代」「資産の承継」があるんだけど、専門家と呼ばれる人たちは、三番目の「資産の承継」にばかり目が行っていて、「事業承継=相続」みたいな勘違いをしちゃってる人も多く、経営という本質的な部分を見失って、何だか簡単に考えているみたいだから、十分に気を付けてね。

そして特に気を付けなければならないのが、永続的に運営するだけの価値のある企業であるからこそ事業承継が必要なのであって、まず最初に「価値のある企業」であるか否かを確認しなければならず、もしそうでないなら廃業や一部を切り離してのM&A、あるいは他社との企業再編などを視野に入れなければならない可能性もあるということなの。

だから、事業承継とは並の専門家が考えているみたいに単純なものじゃないのよ。

事業承継を妨げている要因として、いろいろなことが挙げられているけど、それぞれが深刻な問題だと思うわ。

後継者不足は少子化という社会現象にも原因があるし、M&A市場が発達し難い理由としては中小企業の経営の不透明性みたいな部分にも原因があり、借金体質という部分では担保と保証人に頼る日本の金融制度にも問題があるから、なかなか簡単ではないわね。

でも、専門家の認識不足という部分に関しては、専門家がちゃんと中小企業の経営を理解して、正しく事業承継を考えるようになれば解消するかも知れないし、それに伴って法律の不備や金融制度の欠陥などについても、専門家側から意見を出せば変えられる可能性も出てくると思うの。

でも、これは事業承継に限らず普通の財産の承継にも関係するんだけど、最終的には日本人のリスクマネジメントに対する認識が間違っているという部分を変えないといけないと思うな。

日本人は、今のコロナ騒動に見られるみたいに、とっても小さなリスクを変に怖がって過剰な対策をする部分があると思ったら、その半面で大きなリスクに対しては全く何も対策しようとしない部分が沢山あったり、とっても歪な思考を持っていて、本当の意味のリスクマネジメントを理解できていないようだから、まずそこを改めないとね。

さて、事業承継と専門家の関わり方なんだけど、そもそも専門家と呼ばれる人たちは「縦割り」になっていて、自分の専門分野に関してだけは矢鱈と詳しいけど、他の分野に関しては一切関わろうとしないという変な癖があるから、あらゆる要素を複合的に見渡さなければならない「経営判断」とは相容れないのかも知れないと思うの。

実際、事業承継って言葉を耳にしたら、税理士さんなら税金、弁護士さんなら財産争い、社会保険労務士さんなら人事労務、中小企業診断士さんなら経営分析、生命保険の専門家なら企業保険とか、全く違う切り口をメインに考えてしまう傾向があるから、その結果がミスリードになっちゃうことがあるのね。

その意味から、事業承継に限らないけれど、会社経営の問題に関わる場合には、専門家は一人とか一つの資格者だけというのではなく、各分野の専門家が複数で知恵を出し合わなければ、実際の現場では全く通用しないと思っておいた方がいいと思うわ。

実は、それは親愛信託の世界でも同じだから、とにかく一人で出来ることには限界があると思わないといけないの。

事業承継の三大要素の一つである「経営者の交代」だけど、会社の経営者になるためには会社経営に関する決定権を持たなくてはならないわよね。

それが株式会社であれば過半数以上の株式の保有で代表取締役に就任するということになるんだけど、会社の株式というのは経営権と財産権が一緒になっているから、株式を後継者に譲ってしまえば、そこに税金の問題が生じるし、それに一度渡してしまった株式を元に戻すことは簡単ではなくなるし、いろいろな理由から、経営者はなかなか後継者に株式を渡そうとしないで、場合によっては歳を取って認知症になったり、そのまま死亡してしまったりして、事業承継どころではなくなってしまうケースが少なくないの。

ここでも「資産の承継」ばかりを考えていちゃ、もっと大切な部分を見落としてしまうってことになりかねないのね。

歳を取った経営者は、当然だけど能力は衰えて行くんだから、経営者の加齢と共に会社自体の力も衰えているということに気付いて、一刻も早く有能な後継者に実権を譲るべきだし、後継者も先代に甘えていないで一日も早く「追い越してやる」って気迫を持たないといけないと思うんだけど、そのためにも経営者の早期交代が容易に実現できる仕組みが必要なの。

そこで親愛信託の登場ね!

みなさんはもうご存知のように、親愛信託なら「財産権」と「決定権」とを分離できるから、株式会社であれば株式の「財産権」を現経営者である受益者に残したままで、「議決権」だけを後継者である受託者に渡すことが可能になるの。

また、親愛信託であれば、受益者が認知症になったり、あるいは複数になったとしても受託者が一人なら自由に経営判断ができることになるし、契約の作り方によっては受託者を後で交代させたり、受益者連続型にしてずっと先の後継者まで決めておいたりとか、いろいろなことができるようになるから、本当に便利な仕組みなのよ。

それから、種類株式という仕組みを使えば、議決権のない株式とか、あとから買い戻せる株式とかを作って柔軟な対応ができるようになるし、一般社団法人を使って最初から財産権の存在しない事業体にしてしまうという方法もあるから、事業承継にはいろいろな制度を活用できる余地があると思うの。

でも、そもそも株式が信託できると思っていない一般人もまだ多いようだから、まずは株式信託を勉強して、中小企業の事業承継の支援にも生かしてね。

ではまた明日!

※ノブレス・オブリージュ!高貴なる人の責任って意味だけど、財産をたくさん持っている人や、会社の経営者などは、次世代の人たちに対しての責任があると思うの。その責任を果たしながら、あらゆるリスクに対応できる仕組みを作れるのが親愛信託。みんなで勉強しようね!!