マリンの部屋番外編:5分間動画シリーズの解説第9回

第9回の解説よ!

今回は「生命保険の基礎知識」。

生命保険と親愛信託は義兄弟!

意外と気が付いている人が少ないみたいなんだけど、実はそうなのよ。

自分以外の人に財産を管理してもらって、自分で決めた人に承継させるって構造も同じだし、ヨーロッパで発展してきた歴史も似ているし、実際の契約の形も、実務での活用法も、全部とっても似ているの。

だから、生命保険と親愛信託とは、まさにベストフィットっていうことだから、両方の専門家の人たちは、特にしっかり覚えておいてね。

生命保険の登場人物は「保険契約者」「保険会社」「被保険者」そして「受取人」ね。

親愛信託で言う「委託者」「受託者」「受益者」そして「二次受益者」と似ているでしょ?

それもそのはず、構造がそっくりなんだから。

民法ではない法律で動いているって点も同じね。

ただ、生命保険には様々な形態があって、使われ方も多種多様なんだけど、一番典型的なのは「保険契約者」と「被保険者」が同じで、「受取人」が遺族とかっていうパターンだから、今回はそれを主に説明するね。

では先に、受取人が受け取る死亡保険金以外のパターンを説明しておくね。

まず解約返戻金とかは保険契約者が、医療給付金とかは被保険者が受け取ることになるので、死亡保険金とは根本的に構造が違うの。

特に高度障害保険金やリビング・ニーズは、死亡保険金と同額を生前に貰えるというような制度なので、これは死亡保険金とは違って相続財産に入ってしまうっていうことに注意が必要かな。

でも、死亡保障がない生命保険は存在しないから、これら生前給付は、死亡保険金とは別のものと認識しておいた方がいいのかも知れないわ。

それから、生前給付は受け取る人や内容によって税金の扱いも変わってくるから気を付けてね。

さて、一番のテーマになる生命保険と「相続」のお話ね。

昔から「生命保険の死亡保険金も相続財産だから自分にも渡せ」って迫ってくる強欲な相続人がたくさん居たみたいで、よく裁判になっていたらしいんだけど、実はもう最高裁判所が結論を出しているの。

その結論は「死亡保険金は相続財産ではなくって、受取人固有の財産である」ってこと。

つまり「契約自由の原則」が「法定相続」に勝ったということになるのかな。

考えてみたら、財産を所有していた人が契約で指名した人に財産が渡っているだけのことなんだから、関係のない相続人に権利がないのは当たり前のことなんだけど、何か勘違いしている「相続人」にとっては、悔しい判決なのかも知れないね。

ただし、稀だけど受取人を被保険者自身に指定している場合は、死亡保険金が相続財産になってしまうので注意が必要かな。

それから、その最高裁の判決で、死亡保険金が相続財産全体に占める割合がとっても大きい時には、民法の「持戻し」の規定が「類推適用」される場合があるって言ってて、これを「死亡保険金も一部は相続になって遺留分を取られる」って判決だと勘違いしちゃってる人が結構たくさん居るのね。

でも、類推適用っていうのは、個別の事案ごとに裁判所が判断して、原告か被告のどちらかを少しだけ有利にしてあげようという手段だから、これは全部の事案で必ず適用されるものではないし、そもそも保険法と民法とは違う法律なんだから、本当に特殊なケースでしか類推適用はないと考えるべきだと思うよ。

それから、生命保険と似た仕組みとして、死亡退職金というのがあるの。

これは会社の役員さんとか従業員さんとかが死亡したことを条件に出される退職金のことで、生前に出される普通の退職金とは法律的にも税務的にも全く違う取り扱いになるのね。

これについても生命保険と同じように最高裁判所の判例があって、相続ではないことが確定しているので、いろいろな対策に使えると思うよ。

他にも共済の死亡給付金とか、生前の契約に基づいて死亡後に支払われる仕組みになっている給付金については、その契約なり規約で決められた受取人が「相続」ではなくて直接取得するという取り扱いになるのね。

これって、承継型の親愛信託と似ていると思わない?

さて、生命保険や死亡退職金と相続税の関係ね。

これらは最高裁判所が「相続ではない」と言っているので、普通であれば相続税はかけられないんだけど、それでは税金的な不公平が出てきてしまうので、相続税法では特別な条文を作って、これらは「みなし相続財産」という扱いにして、他の財産と同様に相続税がかけられるようにしているの。

生命保険と死亡退職金には、それぞれ法定相続人1人あたり500万円っていう非課税枠があって、ちょっとだけお得になっているから、節税対策には使えそうね。

ちなみに、相続税法上では信託受益権も「みなし相続財産」になっているから、税金の世界では明確に「相続ではない」と考えているの。

でも、信託受益権には「非課税枠」はないから、節税には使えないわね。

そして親愛信託とのコラボレーションね!

とにかく「義兄弟」なんだから、相性が良いのは当然だよ。

棲み分けとしては、不動産や株式などは生命保険の範疇ではないから親愛信託で、金銭は非課税枠が使えるってこともあるから生命保険でっていうのが、まさに王道だと思うわ。

金銭に関しては、他にも商事信託を使うって方法もあるし、もちろん親愛信託でも管理できるから、事案に合せて柔軟に考えればいいわね。

そして、信託が困難な財産とか、そもそも信託ができない「債務」や、財産以外の心情的な部分や代理権などは遺言や後見を使えばいいし、いろいろな制度を複合的に組み合わせることで、最適な対策が可能になると思うの。

生命保険の専門家のみなさんは、沢山のお客様を持っておられると思うので、是非とも親愛信託を勉強していただいて、金銭以外の部分でお客様の希望を叶えるようにして欲しいと願っているから、よろしくね!

ではまた明日!

※ノブレス・オブリージュ!生命保険も親愛信託も、財産を持っている人の「高貴な義務」だと思うの。誰もが自分の将来に対して責任を持ってくれる社会になって欲しいな!!