マリンの部屋番外編:5分間動画シリーズの解説第8回

第8回の解説よ!

今回は「一般社団法人の仕組みと活用法」。

一般社団法人は親愛信託とは全然別の話みたいに見えるけど、実は共通点があるの。

同じ頃に法改正されてできた制度ってこともあるけど、どちらも素晴らしい仕組みなのに、まだあんまり普及していなくって、むしろ勘違いとか誤解をしちゃっている人が多いってことが、一番大きな共通点かな。

サブタイトルに「株式会社に代わるべき新たな法人組織」ってあるけど、ピンとくる人って少ないんじゃないかしら?

昔って言っても、ほんの十数年前までは、社団法人っていうと公益目的に限定されてて、しかも行政の許認可がなければ作れなかったので、結構大変なものだったのよ。

例えば日本医師会とか日本行政書士会連合会って感じの、本当に公共のためだけに存在する法人に限る、って感じだったのね。

ところが、いわゆる小泉構造改革ってやつで、いろんな法律がアメリカ的な内容に変わった時期があって、実は信託法の改正や会社法や保険法の制定も同じなんだけど、その時に社団法人の制度も根本的に変えられたの。

まず許認可が不要になって誰でも簡単に作れるようにしたし、事業目的も公益に限らず何でも自由にできるようになったし、要するに以前とは全く違う内容の法人制度に変わって、普通の会社と同じことができるようになっているのね。

ところが、これも遺言とかと同じで、言葉のイメージや先入観って、なかなか払拭されるものじゃないみたいで、未だに一般社団法人は収益事業をしちゃいけないと思い込んでいる人が多いみたいでね、スライドにあるように、ある一般社団法人のホームページには明らかに間違ったことが書いてあって、その間違いを誰も指摘しないっていう状況なの。

会社と一般社団法人との違いなんだけど、一番大きいのは「出資金がない」ということかな。

会社と名の付く法人には必ず「出資」というものがあって、出資した人には「財産権」があるんだけど、一般社団法人にはそれがないから、要するに「俺の会社」っていうのはあっても、「俺の一般社団法人」っていう概念はないということね。

財産権がないということから、一般社団法人は社員に利益を配分したり、解散の時の残った財産を社員に配分したりすることは原則としてできなくて、このことを「非営利」って言うの。

でも、多くの人は「非営利」という言葉を完全に勘違いしていて、一般社団法人は営利事業をしちゃいけないと思っているみたいだけど、そんなことはなくって、会社と同様に自由に営利事業はできるし、幾ら稼いでも構わないんだけど、ただ社員に配分しちゃいけないってだけの違いだね。

当然のことだけど、一般社団法人の役員として働いた人が役員報酬を貰うのは自由だから、事実上は配当ではなくって役員報酬を貰えば会社と同じような経営ができるのよ。

次に一般社団法人の作り方なんだけど、とっても簡単!

ただ、会社と違うのは、一般社団法人はあくまでも「人の集まり」って建前だから、最初に設立する時には2名以上の「社員」が必要になるの。

でも、あとは会社とほぼ同じで、早ければ10日くらいで設立登記までできてしまうし、費用も定款認証の5万円ちょっとと登記の収入印紙代が6万円だけだから、お安いものなんだよ。

一般社団法人の活用法なんだけど、あまりこれを言う人は居ないみたいなの。

スライドに出ている本には沢山の活用法が書いてあるけど、要するに株式会社と同じことができて、さらに公益認定を取れば公益法人にもなれるんだから、まさに「いいとこ取りのハイブリッド」な法人組織なのよ!

株式会社と比べて最も優れている部分は「株式」が存在しないってことから、株式会社の場合によく問題になる「事業承継の際の税金問題」が存在しないってことだと思うの。

ただ、一般社団法人制度ができて暫くした頃、脱税目的で一般社団法人を使おうとした人たちが居たみたいで、税法が改正されて、一般社団法人と言いながら実際には誰かが支配しているみたいな偽装、つまり「俺の法人」っていうのは許さない、そんな法人には相続税を課税するってことになったので、特に税金の専門家の人たちはそれで「もう一般社団法人は使えない」なんて思ってしまっているみたいなんだけど、本来の健全な使い方をしている限り、何の問題もないから心配しないでね。

親愛信託と一般社団法人の併用でよくあるのが、親愛信託の受託者を一般社団法人にすることね。

個人の受託者なら、せっかく親愛信託をしても、受託者が先に認知症になったり死亡したりするリスクがあるし、また適当な受託者が見付からないケースもあるので、寿命というものがない法人を受託者にするってのは理に適っていると思うわ。

特にスライドにあるような受益者連続型の親愛信託なら、信託の期間がとっても長いので、その間に受託者を交代させなくて済むというのは大きなメリットだね。

例えば「〇〇ファミリートラスト」みたいな一般社団法人を作っておけば、まさに代々承継する財産を管理する永続的な法人になるわ。

そして一般社団法人経営ね!

これこそが一般社団法人の真骨頂なんだけど、今のところ我が国では一般社団法人の仕組みを勘違いしている人ばかりで、これを理解している人が居なくって、実際にはまだ使われていないと思うの。

もちろん会社と違って株式や出資金がないから、増資という資金調達手段は使えないけど、「基金」という仕組みがあって、それを使えば事実上は外部からの資金調達も不可能ではないし、基金は他にも様々な活用法があるのよ。

とにかく出資金がないことから、事業承継やM&Aの際に税金を気にしないで実行できるというのは大きなメリットだし、利益配分ができないという部分については、事業計画をしっかり立てて役員報酬などで適正な支出をして、内部留保を残さないようにすれば、会社と全く同じような事業をすることができるわ。

もちろん「俺の法人」ではなくって「みんなの法人」だってことは忘れてはいけないけど。

とにかく、一般社団法人の活用法については、まだまだ未知の部分があるから、是非とも一緒に考えてね。

ではまた明日!

※水陸両用バス!一般社団法人は営利事業も公益事業も両方できる、まさにハイブリッド法人なんだよ。さぁ、このバスみたいに川に飛び込もう!!