しらしんけん/何日君再来

~一途な愛と変わらぬ情熱の物語~

おわりに

「しらしんけん/何日君再来」、お楽しみいただけましたでしょうか?

「Beautiful Dreamers」「リネージュ」に続く、かつての合宿研修の課題をベースとした三部作の完結編でしたが、本作では初めて「方言」を取り入れたり、もう一つの舞台を中国にしてみたり、専門家の活躍場面を増やしてみたりと、幾つかの新機軸を使ってみました。

実は、最初に考えていたタイトルは、古い楽曲にちなんで、単に「何日君再来」だったのですが、どうやら同名の映画が存在しているらしいことが判明しまして、何かメインタイトルを付けなければと考えていた際に、大分弁を使ってみてはと思い付いたのです。

そして、大分県在住の知人に相談したところ、特徴のある大分弁として「よだきい(億劫、面倒)」と「しんけん(とっても、非常に)」があると聞き、そして「しらしんけん(一生懸命)」というタイトルに辿り着きました。

さらに、その知人を通じて、大分弁の翻訳をしていただける人を紹介していただき、登場人物の中で大分弁を喋るキャラクターを特定して、その人のセリフだけを大分弁にすることで、個性を際立たせることにしました。

大分の協力者の皆さんに、改めて感謝の意を表させていただきます。

実は、一応は結末まで想定して作られていた前二作とは異なり、この作品のベースになった合宿研修課題では、最後の結末や「愛子が現金を持ち出した理由」などは想定していなかったので、その部分は執筆しながらの創作となっています。

「二つに分断されてしまった家庭」のそれぞれに、辛い過去や切ない事情を抱える人たちが大勢おり、その当事者の一人でもある主人公の中岡香織が、専門家である双葉梓の力を借りながら、何とか縺れた糸を解きほぐすように解決に導いて行くプロセスを描きたかったのですが、何日君再来の歌詞がキーワードとなって、何とか収束までのドラマを作り上げることができました。

この作品も来年1月くらいには電子書籍化できる予定になっていますので、ご期待ください。

これで、とりあえず当初に思い描いていた「合宿課題三部作」は完結ですが、また次のテーマを準備していますので、来月以降も楽しみにしていてくださいね。