二次元セミナー~親愛信託活用マニュアル講座~第44回

P190~193:「親愛信託事例1-14遺言機能包含型信託」から(初版版ではP186~189)

【この手法で対応できる問題】

最近では昔ほどではなくなりましたが、まだ遺言を書くのを嫌がる高齢者は多いようです。

そもそも「遺言(ゆいごん)」という言葉が「遺書(いしょ)」と同じイメージで、死の恐怖とか暗さを感じさせてしまう嫌な感じの日本語ですし、さらに一部の頭の固い専門家が「いごん」と発音してしまうので、ますます一般人が忌み嫌う言葉になってしまっているのではないかと思います。

私は、まだ親愛信託がなかった20年以上前から遺言の普及を願っていまして、2007年には当時まだ珍しかった遺言だけをテーマにした単行本を書いたりしたのですが、それでもやはり「言葉の魔力」というものは恐ろしく、当時は遺言をテーマにしたセミナーを開催すると、司会者が最初に「今日は縁起の悪いテーマで申し訳ありません」と言ってしまうような状態でした。

今年7月から法務局による自筆証書遺言の保管制度がスタートし、もう少し話題になるかと期待していたのですが、今の世の中はコロナ騒動一色で、遺言どころではないようです。

ちなみに、遺言は英語では「WILL」と呼び、日本語とは全くイメージが違う言葉となっていますが、この言葉も日本では定着しにくそうです。

しかし、遺言をしないことのリスクは、もっと世間の多くの方に知っていただくべきですし、さらに「超遺言機能」を持つ親愛信託に対する理解をもっと進めていただきたいと思うところです。

【事案の概要】

「遺言など縁起でもない」というセリフを何度耳にしたことでしょう。

もちろん、高齢者にとって自分の死を前提に話をされるのが嫌という気持ちは十分に理解できますが、このケースのように貴重な財産を所有している人は、その財産に対する「大人の責任」というものがあるということを忘れていただいては困るのです。

もしこのまま放置して法定相続になってしまうと、このケースは兄弟仲が悪いという前提ではないとは言え、財産を管理する長男にとっては「権利は半分で義務だけ全部押し付けられた」という気持ちになり、後から兄弟仲が悪くなってしまうリスクもあると言えるでしょう。

【親愛信託以外の方法を利用した対策】

遺言をしないと言っておられるのですから、これはもう、どうしようもないことです。

【親愛信託を利用した提案】

親愛信託の強みは、必ずしも遺言機能が主要ではなく、認知症対策機能や管理権限移譲機能等々の他の大きな目的がある中の一つとして、遺言と同様の機能が包含されているという点にあります。

このケースですと、表面的には認知症対策などの「死を前提としない」目的をメインとして親愛信託を薦めれば、父Aさんも素直に契約書に署名押印してくれる可能性は高いのではないでしょうか。

もちろん、二次受益者を長男Bさんにするのが順当ですが、ここで次男Cさんにも財産を分けたいという意向があるのであれば、受益権の一部を渡すようにして、不動産が共有状態になるのを回避することも可能です。

【親愛信託を利用するメリット】

以前は「遺言代用信託」という言葉が使われていましたが、そもそも遺言と信託とは全く別の概念であり、信託の機能の一つとして存在する「承継機能」を民法の世界で不十分ながらも実現できる可能性を持つのが遺言というのが実際のところですから、むしろ遺言の方が「信託代用遺言」ということになるので、私はもうこの言葉を使わなくなりました。

このケースで意外と気が付かない人が多いのが、遺言の場合には遺言執行費用は相続財産から支払われるもので「相続債務」とはならないのに対し、生前に契約で行う親愛信託は報酬を生前に支払いますから、相続財産から減少するということになり、実質的に節税になるという部分です。

本当に親愛信託とは優れた仕組みであり、民法の規定に劣る部分は何一つないと言っても過言ではないと思います。

それでは、また明日。

(つづく)

≪本日の学習ポイント≫

  • 遺言を忌み嫌う高齢者が多いが、言葉のイメージが原因なので、払拭は難しい。
  • 遺言を英語では「WILL」と呼び、日本とは違うイメージで捉えられている。
  • 遺言的機能を表面に出さずに提案できるのが親愛信託の強みの一つである。
  • 遺言執行費用とは違い、親愛信託の報酬は生前の経費として相続財産から控除可能。

 

雑感

昨日は静岡県浜松市で41度を超える気温になったそうで、全国的に大変だったようです。

しかし、41度の中でもマスクをして苦しそうに歩いている日本人の異常さには、開いた口が塞がらないですね。

このままでは、熱中症の死者の方がコロナの死者の何倍にもなりそうですが、それでもマスクだけは外さない国民性って、いったい何なのでしょう??

世間は昨年までは「盆休み」と言っていた時期を過ぎましたが、何ら改善も進歩もないようで、私の暮らしは不便になるばかりです。

こうなったらトコトン持久戦しかないのでしょうね。