二次元セミナー~親愛信託活用マニュアル講座~第42回

P182~185:「親愛信託事例1-12遺留分対抗型信託」から(初版版ではP178~181)

【この手法で対応できる問題】

前回、遺留分請求自体を封じる目的で遺留分給付型信託をご紹介しましたが、それですと少なくとも本来は財産を渡したくない者の生存中は一定割合の給付が必要になり、それすらも嫌だと考える親世代も多く存在していると思います。

その場合には、もう訴訟を覚悟の上で、親不孝者などの「財産を渡したくない者」を完全に除外した親愛信託を組み、かつバックアップとして遺言や死因贈与を併用するしか方法はありません。

しかし、これも前回申しましたように、もし最悪の事態が生じて訴訟に敗れたとしても、遺言を下回る効果で終わるという可能性はゼロなのであり、かつ例の流言のように「公序良俗違反」で信託全体が無効になることはないのですから、過剰に心配する必要はないと思います。

自分の財産を自分の想いや願いの通りに承継させることは、ごく当たり前の常識であり、また社会正義でもあり、正しい道徳でもあると思うのですが、残念ながらそれを妨害する民法という法律がある限り、不本意ながらも親愛信託という仕組みを武器として使って戦い抜くしか方法はないのではないでしょうか。

【事案の概要】

非常にシンプルで、特に説明の必要もないくらいですが、親の意思はとにかく次男には1円たりとも渡したくない、逆に次男は親から1円でも多く奪取したいという、利害が正面衝突しているケースです。

こういったケースに限り、親不孝者の次男は当然に親の財産の半分は自分のものと思っていますから、親がどんな対策をしようが必ず訴訟になるという覚悟が必要で、このケースであれば被告となる親孝行者のBさんによく説明し、弟と法廷で争う覚悟を決めていただく必要がありますが、誰が考えても長男の方が正義なのですから、何も臆することはないのです。

【親愛信託以外の方法を利用した対策】

「ない」と断言するしかないでしょう。

時々、「Cさんに金を渡して遺留分放棄の申述をしてもらう」という方法を上げている本がありますが、実際には遺留分放棄をするような人間は皆無でしょうし、さらに遺留分放棄は一方的に撤回できるのですから、対策とは言えないでしょう。

【親愛信託を利用した提案】

親不孝者を完全に除外した親愛信託で、必ず訴訟になるでしょう。

訴訟の際の主張ですが、まず第一に「信託財産には民法の規定は及ばない」との強い信念をもってあたるべきです。

以前に説明しましたが、民法の多くの条項は任意規定であり、当事者が別の意思を契約などでもって表明した際には、民法の規定よりも当事者間の契約が優先されることになっていると第91条には明記されています。

さするに、相続法が強行法規なのか任意法規なのかの問題になるのですが、少なくとも強行法規であるという明文もなければ論理的根拠もありません。

民法第554条に「死因贈与契約は遺贈とみなす」という趣旨の条項が存在します。

これは、もし相続法が強行規定であるなら必要のない条文であり、逆にもしこの554条の規定がなければ死因贈与は契約なので相続法に優先してするという解釈が成立しますので、相続法が強行規定ではなく任意規定であると言える、数ある根拠の一つになると思われます。

権威と呼ばれている民法絶対派の某学者は、何の根拠も説明もなく「信託は死因贈与と似ているから民法554条が類推適用される」などという暴論を吐いているようですが、あくまでも類推適用とは訴訟上で原告か被告のいずれかを法を超えてでも救済しなければならないケースにおいて、裁判所が個別の判断でもって適用するものであり、たかが一学者が勝手に類推適用の要件を決めるというものではありませんから、権威に騙されないでいただきたいと思います。

次に、実際に生命保険契約は民法ではない保険法で運用されており、死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産であるとの最高裁判決が出ていることを主張すべきです。

以前は、生命保険との類似性から信託財産には遺留分は発生しないとの学説を述べる学者さんが存在していたのですが、今では権威の圧力に押されたのか、意見を変えられているようで、ここでも何とか親愛信託の普及を妨害したいという強い悪意を感じるものです。

その他にも、信託法と民法の優劣関係を述べるなど、幾らでも正面から遺留分と戦うことができる材料は揃っていますので、あとは法廷で正々堂々と弁論していただける心ある弁護士さんの登場を待つばかりということになると思うのです。

ところが、弁護士さん(裁判官さんもですが・・・)は全員が司法研修で民法は徹底的に勉強するのに対し、信託法に関しては一度も勉強する機会もなく、全くご存知ないという方がとても多く、どうしても思考が「民法絶対」みたいになっていて、信託を理解する人が少ないようで、実はそこが一番の問題なのかも知れないと思っています。

実際、例の訴訟でも、双方の弁護士さんと裁判官さんが、もう少しだけでも信託を理解していたなら、あのような結果にはならなかったと思いますし。

【親愛信託を利用するメリット】

とにかく「親不孝者と戦える」というのが最大のメリットです。

遺言では戦うこと自体が不可能なのですから。

それでは、また明日。

(つづく)

≪本日の学習ポイント≫

  • 自分の財産を自分が思う通りに承継させることは社会道徳的にも正当な行為である。
  • 親愛信託は、遺留分と正面から戦うことができる最大の武器であると考えられる。
  • 生命保険は遺留分に対しての判例を持っているので、併用することで効果が増す。
  • 法廷で遺留分と戦うための法的根拠は十分に揃っており、あとは弁護士の養成である。

雑感

遂に私の近所にあるファミリーマートとセブンイレブンの店頭に「マスク着用にご協力ください」との掲示が貼り出されました。

いろいろな周囲の声とか同調圧力とかがあるので、企業側の都合を考えれば致し方ないこととは思います。

そうなると、協力するためには「入店しない」という方法しか持ち合わせていない私は、唯一残っているローソンしか買い物ができる店がなくなってしまいましたが、この状況ではローソンとて同調圧力に屈する日は近いのでしょう。

しかし、こんな酷暑の8月に全員がマスク姿という、ゾンビの世界のような異常な光景に、誰も違和感を持たないのが不思議でなりません。

新幹線や飛行機は当然のこと、今やJRも地下鉄も都バスも乗れませんし、「非国民包囲網」が間近まで迫ってきた感がありますが、ここまで来たらサバイバル生活のつもりで最後まで突っ張り通すしかないと思っています。

100年前のスペイン風邪の前例から言うと、集団免疫獲得までの「感染者数」は人口の何割かに達するまで増加しますから、今後も意味のない数字で大騒ぎが続くと思われますが、実際に重要なのは超過死亡者数なので、「数十万人死ぬ」と言って危機を煽った人たちは、1000人くらいから増加の気配があまりない死亡者数にヤキモキしていることでしょう。

結果は1年後には明らかになると思いますが、煽った人たちはどう責任を取るのでしょうね?