二次元セミナー~親愛信託活用マニュアル講座~第39回

P172~174:「親愛信託事例1-9生活再建支援信託」から(初版版ではP168~170)

【この手法で対応できる問題】

世の中にはギャンブル依存症やアルコール依存症などの病的な人も含めて、いわゆる「浪費者」という人たちが存在します。

成年後見制度がスタートする前の民法では、「禁治産・準禁治産制度」というものが存在しており、現在のように高齢者の保護はなくて、今でいう精神障がい者の方を保護するためだけの制度だったのですが、準禁治産者の中には「浪費者」が含まれており、親族からの申立によって保佐人を付けることが可能でした。

しかし、その制度は現在では廃止になっており、浪費者に対しては逆に何の保護もなくなってしまっています。

民法の世界における所有権は絶対の効力を持っており、一度所有権者になれば、ギャンブルやアルコールで浪費してしまうのも完全に所有者の自由ですから、これを止めることはできません。

その点、信託であれば「制限機能」を使うことで、一定範囲では受益権の行使を抑制することが可能になりますから、まさに信託の出番ということになります。

【事案の概要】

資産家の父Aさんには、しっかりした長女Bさんと、浪費家の長男Cさんが居て、Cさんは普段から無駄遣いばかりしては父や姉に金を無心する荒れた生活をしており、父も姉も、もしCさんに財産を持たせてしまったら、必ず全部無駄遣いしてしまうだろうと心配しているというケースです。

しかし、父も姉も別にCさんが憎いのではなく、また将来はCさんも家庭を持って改心する可能性もあるのですから、Cさんを相続から外す気はなく、ただ承継した財産を大切に使って欲しいと思っているだけという部分が、単に親不孝者を排除するための信託や、行為能力が復活する見込みがない障がい者などを保護するための信託とは異なる部分なのです。

【親愛信託以外の方法を利用した対策】

準禁治産制度が廃止されている現在、民法の範疇では、どうにも対策の立てようがない「制度の谷間」ということになると思います。

【親愛信託を利用した提案】

単純な受益者連続型信託ですが、制限機能を使うために契約内容を工夫し、受益者となったCさんに対して、受託者のBさんは毎月一定額しか給付してはならないとの制限を課しておきます。

信託の変更事由も工夫して「受託者と受益者Bの合意で変更」としておけば、もし将来にCさんの浪費癖が治ったなら制限を解除するという方法も取れますし、柔軟な契約内容とすることで、当事者全員の安心と納得が得られるものと思います。

【親愛信託を利用するメリット】

もちろん、親愛信託によって財産の無駄な減少がストップできるという面も大きいですが、浪費癖のある人物に余分な現金を持たせないことは、依存症の治療にも資することであり、この親愛信託の効果は財産面だけではなく人格再生にも及ぶということになるでしょう。

逆に言うと、民法の所有権の規定では、人格再生は難しいということにもなります。

他にも制限機能を活用した親愛信託は様々に作り出すことができます。

例えば、社会問題にもなりつつある「外国人による日本の不動産の取得問題」ですが、これは所有権である限り防止は不可能です。

しかし信託受益権であるなら、「受益権の売却には受託者の同意が必要」とか、極端な例なら「受益権を日本国籍のない者に売却することは禁止する」と信託契約に規定しても構わないのです。

これは、民法の世界では絶対に不可能な仕組みですから、ケースに合わせて設計していただくよう、よく勉強しておいていただきたいと思います。

それでは、また明日。

(つづく)

≪本日の学習ポイント≫

  • かつての民法では「準禁治産制度」で浪費者は保護されていたが現在は廃止されている。
  • 所有権は絶対であり所有者の権利は宣言できないが、信託受益権は制限可能である。
  • 浪費者の生活再建が成功した際に信託契約を変更する余地を残しておくこともできる。
  • 浪費を制限することは単に財産面だけではなく、依存症の治療にもなり得る。

雑感

かつて世間が「盆休み」と言っていた期間に突入しているようですが、東京の様子は普段と全く変わらないみたいで、相変わらず意味のない「感染者数」で大騒ぎという進歩のない状況です。

私は以前から100年前に世界と日本を襲ったスペイン風邪と似た動向であると言い続けてきており、スペイン風邪では世界の感染者は5億人、死亡者は5000万人、日本では当時の人口の約半数の約2400万人が感染し約40万人死亡しているので、時代が違うとは言え、今のコロナ騒動の数百倍の危険度であったということです。

しかし、スペイン風邪は、結局はインフルエンザの一種で、1年目の冬に大流行、6月くらいに一度収まって秋から第二波の大流行、そして翌年の夏前には世界中の人が集団免疫を獲得して、丸2年で完全に終息しているのです。

今は感染者数で大騒ぎですが、問題は死亡者数なので、今はほとんど増えていないのですから、スペイン風邪の歴史と同じ道を辿っていると考えるのが自然であると私は思っており、ようやく同じことを言う学者が表に出てくるようになってきたという状態です。

結論が出るのは超過死亡者数が確定してくる半年から1年後だと思いますが、まだ一生懸命危機を煽っている勢力もあるようで、どうなるものやらです。